カビやダニ、ペットの毛などのハウスダストや花粉などに鼻粘膜が刺激されて起きる鼻炎を、「アレルギー性鼻炎」と呼びます。良く別の病気と勘違いされますが、花粉症もアレルギー性鼻炎の一種です。鼻がかゆい、鼻水が止まらない、鼻が詰まって眠れない、ぼーっとする、など花粉症の方ならそのつらい症状が良くお分かりだと思います。最近では、発症の低年齢化も進んで、子供のアレルギー性鼻炎も多く見られます。
が3大症状です。
子供のアレルギー性鼻炎では、成人に比べて鼻づまり型が多く、くしゃみ型が少ないのが特徴です。子供の場合、鼻のかゆみや鼻づまりが気になり、鼻をほじったりいじったりして鼻出血がみられることも多く、特に乳幼児の場合は、鼻が詰まってミルクが飲めなくなったり、食事ができなくなったりすることもあります。子どもは、自分の苦しんでいる症状をうまく伝えることができず、病気を悪化させてしまうことも少なくありません。気になる症状がみられたら、早めに診察を受けることが大切です。
アレルギー性鼻炎には、季節性と、通年性の種類があります。
抗原とは、アレルギー反応を起こさせる物質です。抗原には、図のような種類があります。
アレルギー性鼻炎は、その原因となっている抗原をなるべく取り除くことがまず第一ステップです。花粉症であれば、マスクやメガネをするなどと同じことです。こどものアレルギー性鼻炎では、特にハウスダストが抗原となっている場合が多く、まずはハウスダストをなるべく取り除くことが大切です。ハウスダストで最も注意するのは、ダニやノミ、カビ、ペットの毛、などです。
大人のアレルギー性鼻炎の治療としては、抗アレルギー薬などによる薬物療法があります。抗アレルギー薬を中心に、必要に応じて症状を和らげる薬を服用します。ただし、薬物療法でも症状が改善しない場合などは、手術療法を選択します。
当院では、アレルギー性鼻炎の手術療法として、一般的なレーザー治療よりも患者さんの負担の少ない「アルゴンプラズマ療法」を行っています。
ペンのように細長い手術装置の先からアルゴンガスを噴出させて鼻の粘膜を焼灼凝固させます。凝固するのはアレルギー性鼻炎のアレルギー反応の場となっている「下鼻甲介」です。つまりアレルギー反応を起こす部分の粘膜を焼いて固めてしまい、反応させなくします。
特徴は、非接触性に凝固するため出血がほとんどないこと、瞬時にある範囲内を凝固できるため(面で焼く)、手術時間が大変短い(5~6分)ことがあげられます。一般的なレーザー手術ですと点で焼いていくために手術時間が片鼻で15~20分かかります。患者さんの負担も軽くてすみます。それよりも、さらに安全性を追求したのが「アルゴンプラズマ手術」です。
アルゴンプラズマ療法の手術は、麻酔をして行います。所要時間はすべてで約30分程です。
手術直後は、 焼灼した粘膜に「かさぶた」が付着するための鼻閉が悪化します。特に術後3~4日間はつまり、鼻水、くしゃみが強くなります。しかしそれも2週間程でおさまり、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状は徐々に改善します。
この効果は一生続くものではありません。アルゴンプラズマ手術で焼灼凝固した組織が再生し、元に戻るため1年から2年おきに手術しなくてはアレルギー症状は再発します。しかし、確実な効果がある治療法ということも確かです。
第1回アルゴンプラズマサージェリー研究会で、手術から3ヶ月後の通年性アレルギー性鼻炎の患者さんからとった統計では98%に鼻づまりの改善がみられ、鼻水は78%、くしゃみは60%の患者さんが改善しています。そのためアレルギー性鼻炎の患者さんのうち鼻づまりの強い方に向いている治療法と言えるでしょう。
「アルゴンプラズマ手術」は入院なしで外来で出来る手術ですが、麻酔(鼻内に薬液をしみこませたガーゼを入れて待っていただきます。)に30分から1時間。手術に5~6分程かかります。術後の通院の目安ですが、術後1~3日後、術後1週間後、術後3週間後と考えて下さい。手術を希望される方はまず来院したのち、手術日を決定いたします。
※高度な鼻曲がり(鼻中隔弯曲)の方は手術の適応になりません。
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少しずつ身体に吸収させて慣らしていくことで体質を改善し、アレルギー反応を弱めていく治療法のひとつです。小児(早くて5才~)にもおすすめできる治療法です。
当院でご相談に対応できる「スギ花粉症」や「ダニアレルギー性鼻炎」の舌下免疫療法は、3~5年続けていくことが必要となる治療法です。アレルギー症状を根本的に治したり、長期にわたって症状を抑えたりする可能性のある唯一の方法とされています。
以下に1つでも該当する方には、治療の選択肢の1つになると思います。
舌下免疫療法は、「完治20%」+「改善60%」=「計80%」の方に何らかの効果があると予想される治療方法ですが、10~20%の方にとっては効果が少ない・感じられないという方もおり、すべての方に必ずしも効果が期待できるものではないことをご理解いただく必要があります。
また、花粉の飛散量が多い時期には、アレルギー症状を抑えるお薬を併用する場合もあります。根治せずとも、より少ない量のお薬で症状を軽くできるようになることも期待のひとつです。