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中耳炎とは

耳は外側から、外耳(がいじ)、中耳(ちゅうじ)、内耳(ないじ)と3つの区画にわかれています。中耳炎とは、まさに中耳の部分が菌などの侵入で炎症を起こしている状態です。中耳炎になると、耳を痛がったり、耳垂れ(耳から膿などが出てくること)がおきたり、機嫌が悪かったりします。

中耳炎は、生後半年から1歳、2歳ぐらいをピークとして、5歳ぐらいまでは非常に多い病気です。これは、大人に比べて抵抗力が弱いためで、5歳を過ぎると抵抗力もつき、中耳炎になる事も減ってきます。

中耳炎の種類(急性中耳炎と滲出性中耳炎)

中耳炎には2種類あり、急性中耳炎と滲出性中耳炎とがあります。急性中耳炎は、風邪や感染症が原因でなることが多く、割りと短期間で治ることも多いですが、一方耳が痛い、発熱、耳垂れなどの症状のない、「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」は、なかなか気づきにくく、治りにくい中耳炎です。

急性中耳炎
    原因
  • 風邪
  • 大量の鼻水、鼻すすり など
滲出性中耳炎
    原因
  • 急性中耳炎からの移行
  • アデノイド(鼻の奥にある扁桃腺の一種)が大きい
  • 鼻すすりの癖
  • アレルギー性鼻炎などで鼻水が長い間出ている
  • 急激な気圧の変化(飛行機) など

中耳炎の症状

急性中耳炎の場合

耳の異常・違和感はもちろんですが、発熱を伴う場合もあります。

急性中耳炎の症状

  • 耳に手をあてる
  • 耳のつまり感
  • 難聴 など

赤ちゃんの場合は、以下のように症状を表現していることがあります。

  • 急に泣き出す
  • むずがる
  • 耳によくさわる
赤ちゃんの急性中耳炎の症状
滲出性中耳炎の場合

滲出性中耳炎は、急性中耳炎のように、耳が痛い、発熱、耳垂れ、などの症状が無く、なかなか気づきにくいです。

  • 耳によく手を持っていく、さわる
  • 呼んでも振り向かない、返事をしない
  • テレビの音を大きくする、近寄ってみるようになった

などの症状が起こります。

滲出性中耳炎の症状

気づきにくく、治りにくい滲出性中耳炎

上で見ていただいたように、滲出性中耳炎は症状に気づきにくく、また治りにくい中耳炎でもあります。急性中耳炎を放っておいて滲出性中耳炎に移行してしまうこともありますので、単に風邪だから、と思わず耳鼻科での診察も受けて頂くことがお薦めです。

言葉の発達や学習力の低下にも影響が

滲出性中耳炎の難聴は比較的軽いものですが、何度も急性中耳炎を繰り返し難治化したり、言葉の発達が遅れたり、学童では学習力の低下につながることもあります。

鼓膜においては、張りが失われたことによる凹みがさらに強くなり、奥にある壁に癒着し(癒着性中耳炎)、続いて鼓膜に永久的な穴があき(慢性中耳炎)おとなになっても難聴や耳垂れで悩んだり、手術が必要だったりすることもあります。

中耳炎の治療

鼻水の処置

鼻水がたまったり喉に炎症があると、中耳炎が悪くなったり、長引いたりします。まずは鼻水を貯めないのが一番です。

  • 鼻水を吸う処置を行う
  • 投薬によってうまくコントロールしていく
耳管通気療法

鼓膜に空気を送り込み、鼓膜の張りを元にもどすような処置を行います。この処置を行えない幼小児の場合には鼓膜マッサージ療法を行っております。

治療を続けても改善されない場合
鼓膜切開

鼓膜を切ってたまっている水(浸出液)を吸い出します。鼓膜には麻酔をかけるので、ほとんど痛みはありません。この時大きな音がし、水を抜き終わった瞬間から聞こえが回復するので、「周りがうるさい」と訴えるお子様もいます。それだけ水がたまり、聞こえが悪かったという事です。

鼓膜切開
チューブ留置法

鼓膜切開を何度も繰り返す場合には、鼓膜切開で空けた穴が閉じないように、換気チューブをはめ込みます。そうすることで中耳内が常に空気の出入りを維持することになり、水を貯めさせない状態にします。その間に中耳の粘膜が正常に戻るのを期待する治療です。

チューブは数ヶ月以上留置し、経過観察します。通常は外来で麻酔をかけて行う手術ですが、幼児の場合は動かれると留置が出来ないため、入院して全身麻酔で手術を行います。

チューブ留置法
アデノイド除去術

アデノイド増大により耳管の入り口を圧迫している場合には入院して切除します。

治療は長丁場になることも

治療は長丁場になることも稀ではありません。治療の重要性をよく理解し、医師の指導のもと根気よく続けることが重要です。

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